秘密の時間
「ごめん…、ここんとこ忙しくて、なかなか部屋も片付ける時間なくって…」
そう口にした部長は、少し困った顔を見せる。
でも、多少物がごちゃごちゃ置いてあるだけで、これといって散らかってる訳ではない。
なんだかふたりだけの空間は、気ごちなくて会話も途切れ途切れになりがちで、なんとも落ち着かなかった。
「…美優、本当にいい?」
念を押すように聞いてくる部長に、こくりと頷いて応えると、部長は素早く私の肩を抱き寄せた。
「…震えてる」
そう呟く部長に、私はもう一度首を振る。
確かに、少しだけ震えてるかも。
でも、部長が本当に私を求めてくれるなら、そのまま流されたい。
ギュッと握り締めた手をさらに強く握り締め、私は覚悟を決めた。