秘密の時間


触れる手がそっと背中をなぞる。



それにぞくりと、反応してしまう私の身体は、その行為を受け入れる態勢は整って居ない。



ギュッと目を閉じ、耐えるように身体がこわばっていくのがわかった。



それからいつの間にか部長の顔が目の前にあって、すっと近付いてきて……。



目を閉じた瞬間、部長の熱い唇が私の唇に触れた。



触れたけど……?



「今日はここまでにしょうか」

「えっ?」



なぜか部長はそれ以上、私に手を出さなかった。



それでも、ドキドキの収まらない鼓動。



部長はゆっくり身体を離すと、ソファーに背を預けた。




どういう、事なんだろ?


私、嫌われたの?


それとも、やっぱり子供過ぎて嫌になった?


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