秘密の時間


月曜日。


いつもの様に出社し、いつもの様に席につくと、なぜか恩田さんが近付いてきた。



「おはよ、美優ちゃん」

「おはようございます…」



あまり朝から絡んで来ることのない彼が、なぜか私の目の前に居て動かない。



それに、いつもみたいな冗談も今日は言ってこない。



彼の態度が不可解に思いながらも、私は何をどうしたらいいのか分からない。




「今、いいかな?」



間を置いて恩田さんはいつもより真剣な表情と声色で私に尋ねる。



「いいですけど、今ですか?」



まだ少し始業時間まではある。



けど、なんだか嫌な予感がした。



恩田さんは何を言いだすのだろう?



なんとなく恩田さんが怖い。



近付いちゃいけないと、警告音が頭の中で鳴り響いている気がする。



「ごめん、今がいいんだけど」



どうしよう?


なんだかこの空気は断りにくい。


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