秘密の時間


さっと写真を私に確認させるように見せると、恩田さんはそれをすぐに私の手の中から奪い取り、また内ポケットの中にしまった。



「脅す、訳じゃあないけど、

この写真、社内にばらまいたら凄い事になるよね」



そう話し出す恩田さんの表情は氷の様に冷たく、私の知っている彼ではなかった。



「美優ちゃん、僕の言ってる事の意味、わかるよね!」

「えっ、えーと、はい…」



もう見せられた写真の事で頭が一杯一杯で、正直恩田さんの話なんて耳に入らない。



なんで?どうして?
そんな写真があるの?



そして、どうして彼が持っていたのだろう??



そんな疑問が頭の中でいつまでもぐるぐると回っている。



「ねぇ美優ちゃん、本当に分かってる?」



恩田さんがニヒルな笑みを浮かべる。



なっ、なんか怖い!!




そう思い一歩後に後づさると彼が一歩私に近づく。



「まぁいいか、今日のトコは…。


また後でね。美優ちゃん」

「……」




恩田さんはそう言い残しその場を去った。



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