秘密の時間
いつもならこんな時、部長が私を助けてくれる。
『美優』って、私の名前を呼んで、私のピンチを救ってくれる。
けど今は、そんな事はけして起こらない。
何故ならここは密室。
恩田さんと私しかいない。
恩田さんは怯えた私にそっと手を伸ばし、肩に手を掛ける。
「美優は、この前の件のこと少しは考えてくれた?」
「……」
「条件、出してもいいかな?」
「…条件?」
思ってもみない台詞を恩田さんは囁く。
私もやっとの思いで声を振り絞り恩田さんに問う。
「うん、だってこうでもしないと美優ちゃんは俺の話なんて聞いてくれないでしょ?
美優ちゃんから俺に話し掛けてくれた事なんてないしさ、
美優ちゃんはいつも俺の言ってる事信じてくれないし…」
恩田さんはそこまで言うと一旦言葉を切った。
そして次の瞬間、恩田さんから吐かれた台詞に耳を疑った。
「俺は、美優ちゃんが欲しい。抱きたい。
そしたら、この写真は全部消去する。
約束する」