秘密の時間


えっ? 抱く? 欲しい??


とにかくそんな事は言う恩田さんは、いつもと変わらない口調なのに、どこか苦しそう。



彼に同情するつもりはないけど、彼にこんな表情をさせてしまってるのはわたしなのかも。なんて思うとチクリ胸が痛んだ。



「…ごめん、仕事中、こんなトコに引き摺り込んで。

でも、今の条件考えといて。

悪いようにはしないからさ」

「……」



そう言うと恩田さんは静かに私から離れ会議室を後にする。



その場に取り残された私は、
私は大きく息を吐いてその場に座り込んでしまった。



「…こわ…かった―」



ぽろりと落ちた言葉と供に私の目からも涙が零れる。



けど、恩田さんの条件を呑むわけにはいかない。



だって好きなのは恩田さんじゃあない。



私の好きな人は、部長。



大橋部長だ。



けど、あの写真をばらまかれれば部長は今まで築いてきた地位や名誉に傷をつけてしまう。



条件を呑めば私は部長と居られなくなる。



せめて初めては部長と。なんて思っていたけど、


このままだと私は好きでもない人に抱かれてしまう。


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