秘密の時間
部長を見て固まっている私に、優しく彼は微笑み掛ける。
「何でそんなに驚いてるんだ。
なんか俺の顔に着いてるのか?」
目の前にいる部長は、上司としての顔じゃなく、どちらかと言えば恋人の顔。
私は周りからの視線を気にしながらも、そんな部長を不思議そうにみつめていた。
「で、美優。ここいいのかな?」
「あっ、は…はい」
なんだか状況が掴めなくて、私は部長がまだ立ちっぱなしだった事に気付かなかった。
あわてて部長に返事を返すと、クスクスといつもは浮かべない笑みを浮かべる部長。
けど、周りが気になる私はどうも気が気じゃあない。
お昼休みになったばかりの食堂。たくさんの人がここへ来る。
いつもなら、私の前に座るなんてあり得ないのに、
他にもちらほら空いてる席があるのに、私の目の前に座るなんて、
みんなに変な誤解されちゃったら…。
「美優、まぁ、そんな顔するな。
食べようか」
苦笑いしながら紡ぎ出た言葉。
私はそれに返事を返すことも忘れるぐらい部長に見入っていた。