秘密の時間
ふと目線を上げると小山課長と目が合った。
そして、にっこり微笑まれる。
「まぁ、確信は持てなかったけど、ただ、大橋の美優ちゃんに対しての接し方は一社員としての一線は越えてる気がしたから…」
「……」
接し方は一社員として越えてる?
小山課長の台詞の意味をまったく理解出来ない私の前で、部長は言葉なく俯いていた。
「まぁ、隠すつもりはなかったけどな…」
そんなこんなでお昼の出来事は、あっと言う間に社内に広まった。
『大橋部長が珍しく女子社員とお昼してた』って。
だったそれだけの事だったけど、その日の午後は、ドキドキの心臓とそわそわした気持ちで、何だか落ち着いて仕事なんて出来なかった。