秘密の時間
でも、そんな彼の態度が悲しい。
いつまでも部長のものになれない様な気がして。
「美優、こっち向いて…」
そう言って伸びてくる手は私の顎を捉え、上を向かせ、
その先には切なげな部長の顔がある。
「今度の週末、食事でも行こうか。
仕事早く終わらすから、デートでもしよ」
触れるだけのキスの後、私を抱き寄せ耳元で甘ーく囁く。
それだけでドキドキと高鳴る鼓動は、私の身体の全ての体温を上昇させる。
けど、すぐに離れていく彼の温もりが恋しい。
そんな私は、気付いたら彼に手を伸ばし抱き付いていた。
「…美優?」
「あの―…」
自分の取った行動が恥ずかしい。
部長の少し驚いて発せられた声も、どこかトーンがおかしい。
「美優、お風呂入って来るだけだから…。
それとも一緒に…」