秘密の時間



その台詞に呆気にとられていると、彼女はクスクスと小さく笑った。



「大橋くんって、あんまり女慣れしてないみたいね」



それを聞いて、今さっき不覚にも『かわいい』なんて思った自分を恥じた。



城田咲季は見た感じと同じ様に派手な人種のようだ。



確かに俺は女慣れなんてしていない。



大学時代に二、三人の女の子と付き合ったのみ。



その子達とだって長くは続かず、一年ぐらいがいいトコ。



それに、女に情熱を注ぎ込む程飢えてもいなかった。



よく言えばモテた俺は、本気で恋愛なんてしていなかった。



女の狂った嫉妬なんてもうたくさんだったから…。



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