秘密の時間



俺の上着に袖を通した彼女は、俺の腕にしがみ付いてきた。



そして、腕を引いて歩きだす。



会社近くのバーみたいな所に連れてこられた。



「咲季ちゃん、久しぶり。あら、イケメンくん。どうしたの?その子??」



店内に入った途端、彼女は声を掛けられた。



男なのに、口から出てきた言葉は所謂『お姉言葉』。



俺は妙な所に連れてこられた。と思ったが、もうここまできたら、諦めるしかなかった。



「こんばんは。

彼、うちの会社の新入社員で一番のイケメンなのよ」



自慢げに話す彼女にも嫌気がさしたが、どうする事も出来ない自分も情けない。


カウンターの空いてる席にとりあえず俺達は座った。


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