秘密の時間
城田咲季の姿は受付にはなく、当り前にきっとまだ俺のベッドの中に居るのだろう。
それをどう説明すべきか。
彼女には指一本もふれてないし、いやっ、やましい事はとりあえずしていない。
けど、男の家に泊まって何もないとか信じてくれるだろうか?
役員室のドアの前に立つと妙に落ち着かない自分がいた。
けど、そんな自分を奮い立たせてドアをノックし扉を開けた。
「ああ、大橋くん。早かったね」
にこやかな表情の常務の話し方から何かを読み取るのは不可能で、
だから次の常務の出方を待つしかない。
「で、大橋くん。もしかしたらうちのお姫さまは君んちに居るのかな?」