秘密の時間
結局それ以来、俺は城田咲季の子守役を命じられた。
どうやら常務じゃあもうどうにも手に追えないらしい。
取引先の男に取り入ったり、はたまた、ライバル会社の男と付き合い、会社の内部情報を流そうとしたり、
その件で随分頭を悩ませたらしい。
それだったら、同じ社の男と付き合いあわよくば結婚してくれれば、少しは落ち着くんじゃあないか。
そんな安易な考えから、俺はいつの間にか城田咲季の婚約者にまつりあげられた。
勿論断る事も出来たが、同時に常務に美味しい話も頂いた。
「とりあえず結婚でもすれば、咲季も落ち着くだろう。
それと、大橋くんには将来有望はポストを用意しといたから…」
結婚なんて興味はなかった。
出世もあまり考えていなかったが、それでも、自分の力でのし上がるのは限界がある。
そんな事柄から俺はその結婚に承諾していた。