秘密の時間
交通事故
結婚生活も一年が過ぎた。
もう殆ど同居人と化したふたりだか、仮面夫婦は続いていた。
多分、彼女には男が居るだろう。
分かっていても何も言わなかった。
いやっ、言えなかった。
仕事ばかりでろくすっぽ構っても遣らなかったこの俺にそんな権利あるか?
そう問いただせばきっとある訳が無いと自分でも思う。
彼女の両親は俺達に期待はしていないし、彼女もあまり実家には帰らない。
ただ常務…、自分の兄貴には頭が上がらないらしく、常務の前ではちゃんと俺の妻らしく振る舞っていた。
そんな彼女の行動を見ているのが息苦しくて、常務に有りの儘の姿を曝したほうがいいのでは。と思ったが、
流石に彼女は首を縦には振らない。
彼女の味方は常務しかこの家族の中でいない訳だから…。