秘密の時間



でも、常務も薄々は気付いていたのだろう。



残業ばかりの俺の日常に、ふたりが上手く行っていないことが証明されていたのかもしれない。




そんなある日事故は起こった。



平日の昼下がり。



その日は妙にクリアに全ての景色が見えた。



それが何かの前触れなんて知らない俺は、その日も仕事のことばかり考え過ごしていた。





急に携帯が鳴り、画面に表示されている名前を見て驚いた。




ここ半年以上、掛かって来た事のない番号からの電話。




胸騒ぎを覚えながら俺は通話ボタンを押した。




「もしも……、えっ……」



その瞬間、全ての物から音は奪われた。



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