秘密の時間
呆然としてる俺に声を掛けて来たのは城田常務。
「おい、大丈夫!?」
そこ一言で全ての音を取り戻す。
「とりあえず、仕事はいいから行こう」
そう背中を押されても、どうしても現実が掴めない。
「おい、大橋、しっかりしろ!!」
そう常務に言われても、やっはりうわの空な自分がいる。
仕方ないと思ったのか、常務は俺の腕を引き歩きだす。
周りはそんな俺達を見てザワザワと騒めいていた。
『大橋巧さんの携帯ですか?大橋咲季さんが今事故に遇われて病院に運ばれてきたのですが……
至急こちらに来て頂けませんか?』
その声が今も尚耳の中でこだまする。
ただ、どうしていいのか考えられない。