秘密の時間



それから数日間、空虚な感覚に囚われながら過ごした。



彼女の葬儀も終わり、全ては元通りに戻ったというのに、


どうしても胸の内がしっくりしない。






彼女は交通事故にあい、ほぼ即死だった。



そして、彼女はひとりではなかった。



助手席の彼女に運転席の男。



この男は辛うじて命は助かったらしいが、まだ目を覚まさない。



そんな中、執り行われた彼女の葬儀。



俺はまるで悲劇のヒロインさながらの扱いだ。



けど、そうじゃあない。




もしかしたら彼女を殺したのは俺なのかもしれない。



もっと彼女との時間を作っていれば、他の男など要らなかったはず。



今更後悔しても、もう遅いが……。



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