秘密の時間



結婚はゴールじゃあない。って本当だよな。



俺はまだ若かったからかもしれないが、結婚すれば自動的に生活は持続するもんだと何処かで思っていたのかもしれない。



でも、実際は違った。



結婚しても互いを思いやって居なければ生活は成り立たない。



そしてそれに気付いた時には、



もう咲季は居なかった。





この場所はね、咲季が交通事故にあった場所なんだ」



一息に話し終えた巧さんは、ふと視線を落とした。



その表情は影になって分かりづらいが、でも儚げで淋しいそうにも見えた。




私が想像していたものよりも辛い巧さんの過去。



そんな辛い過去にまで嫉妬してしまう私って……。




どれたけ巧さんに溺れているんだろ?




巧さんはそんな私を知ったらどう思うんだろ?


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