秘密の時間


咲季は元々、俺一人で相手が務まる様な女じゃあなかったんだ。



俺と結婚する前はだいぶ男関係で常務の頭を悩ませてたみたいだし。



まぁ、俺はあんまりそういうの興味なかったから、だから特に気にしはしなかったけど、


でももしかしたら、咲季はそういう所、気に掛けて貰いたかったのかもしれないな。


若さ故に至らない所が多々あったから。


それに、俺達は歩み寄る事を怠ってたのかもしれない。


ありのままを受け止めるのは割りと簡単な事なんだけど、歩み寄る事はけして簡単とは言えない。



ある程度相手の意見も尊重しないと行けないからね。




けど、美優。美優とは、ちゃんと歩み寄りたい。


咲季の二の舞は御免だからね。




ごめん。話しは逸れたけど、



そんな仮面夫婦な俺達だったけど、最期まであの時ふたりで選んだ指輪だけは身に付けていてくれたんだ。



まぁ、彼女の最期は最悪だったけどね。





他の男とドライブ中に交通事故にあい亡くなったんだ」





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