秘密の時間
そんな俺は突然の雨にも関わらず、ぼんやりと海を眺めまた咲季の事を思っていた。
またとりとめない思いだ。
今更考えても仕方ない。
分かっていても、それでも、ほっかりと胸に空いた穴はなかなか塞がらない。
そして、俺の気持ちは愛しい寂しさや悲しみではなく、どちらかと言えば、後悔の念に刈られる。そんな物だった。
だから激しい雨に打たれても何とも思わなかった。何とも思えなかった。
もしも、もっと咲季に愛情を注いでいれば、こんな事にはならなかったんじゃあないか。
ちゃんと向き合っていればまだ咲季は隣に居てくれたんじゃあないか。
そんな後悔ばかりが胸に溢れ、俺は半ば自暴自棄になってた。
そんな俺を見るに見かねて助けてくれたのがここのオーナー足立さん。
ずぶ濡れの俺にバスタオルと温かなスープを渡してくれた。