秘密の時間
タイミングを見計らって、俺はポケットから四角い箱を出す。
それをそっと美優の目の前、コトリとテーブルの上に置く。
美優といえば、なんだかまだ今の状況を掴めていないみたいで。
ぼんやりと目の前に置かれた箱をただ見詰めている。
まぁ、仕方ないか。
俺の過去なんか聞いた後にプロポーズしたのだから。
もしかしたら困ってるのかな?
やっぱり、過去の話なんてすれば美優を不安にさせてしまうだろう。
それはでも、仕方ない。
過去の俺はそんな最低な男だったのだから。
「……美優」
けど美優。
今の俺は過去の俺とは違う。
美優を心から愛してる。
その気持ちだけは伝わって欲しい。
確かに年の差もある。
美優からみたら俺なんておじさんなのかもしれない。
けど美優。
やっぱり俺にはもう美優しかいない。
美優……。