秘密の時間
二人の気持ち
今、私の左手の薬指には彼との愛の証が嵌められている。
それを見るたびに何だか胸がドキドキする。
こんな小さなリングで幸せは計れないけど、
でも、
何だか今まで以上に私達が一つになれ気がする。
「うん、やっぱり美優にその指輪似合ってるね」
ぼんやりしている私の目の前で、彼は箱の中から指輪を摘まみ上げ、ゆっくり私の左手を引き寄せるとその指輪を薬指にそっと滑らす。
「ごめんな美優。
あんな話の後で……」
遠慮がちにそう言った巧さんは、なぜか今にも泣きそうな顔をしていた。
ど、どうして?やっぱり咲季さんの事が好きなの??
「美優、本当に俺でいいのか?
歳は離れてるし、もうおじさんだし、バツイチだし……」
「た、巧さん?」
私に指輪を嵌めたというのに、なんで今さらそんな事言うのだろう?