秘密の時間
秘密の残業!?
あの日以来、恩田さんからは声を掛けられなくなった。
あの晩のことを後日謝ったら、
「うん、あんまりその事は気にしないで。俺もさ、悪かった訳だし…」
なんて言ってたけど、明らかにいつもと様子が違っていた。
「俺の方こそ、ごめんね」なんて、返って謝られてしまい、返って気まずくなった。
そして、部長とはと言うと…。
これといって変わったことはなかった。
でも、忘れられない。
あのおでこにキス。
そして、微かな部長の香水の香り。
その感覚はいまなお鮮明に記憶されていて、ふとした瞬間思い出し、赤面してしまう。
きっと私はまだまだ子供なんだろう。
部長はどうなんだろ?
あのキスを覚えているのだろうか?
いつも通りに接してくる部長を少し恨めしく思った。