秘密の時間
「えーと、でも…」
急に引き戻された現実に足を止めたら、先輩おじいちゃんはニンマリ笑って「いつもありがと」なんて言われてしまった。
「ほら、部長に頼まれた仕事、行かないとどやされるぞ」
先輩おじいちゃんはそう言うとそそくさと席を立ち、自分で給湯室へ向かった。
チラリ振り返り部長を見ると、部長は自分の仕事を黙々と進めている。
なんだか良くわからなかったが、取り敢えず頼まれた仕事に私は取り掛かった。
営業課に行き、小山課長にファイルを渡しすぐに戻ろうと踵を返すと、課長に呼び止められた。
「これ、至急大橋部長に返して!それと…
今年はキミがターゲットにされたのか…」
「……」
渡したファイルはすぐに返され、よく分からない事まで言われてしまった。
なもんで、そこから動けないでいると…
「あっ、悪い悪い、引き止めたな。
そう、それマジですぐ部長に届けて!」
そう言うと、課長は自分の仕事に戻ってしまった。
い、一体なんなんだろ?