秘密の時間
それより、どちらの仕事を先にすればいいのかな?
頼まれた資料?
それともこのファイル?
取り敢えず小山課長の『至急…』という言葉が頭から離れなくて、速攻部長にファイルを返しに行った。
「ああ、ありがと。そこ置いといて」
サラッとした物言いに、なんだか拍子抜けしてしまった私は、部長に頼まれた資料を忘れ自分の席へついてしまった。
そして、みんなが帰りはじめる時間。
今日はなんとか時間内に仕事が終わり安堵のため息なんか吐いちゃったりした時、ポケットを探ると、ガサリ、と手に触れ音がした。
それをそっとポケットから引っ張りだし、その紙切れを広げてみると…
「ゲッ……」
わ、忘れてた!!
部長に頼まれて資料。
私はあわてつその紙切れを握りしめ資料室目指した。