秘密の時間
フロアへ戻り、真っ先に部長の席に目を遣るが、あいにくの空席だった。
辺りを見渡しても、部長の姿は全然見えない。
「……」
帰りたいな…。
せっかく早く仕事終わったのに、部長の頼まれ事で帰れないなんて…。
まぁ、早く帰った所で用事もないけど。
でも、出口の見えない迷路に迷い込んだ、みたいな仕事。
結局一時間近く探しても見つからないその資料に、もう途方に暮れかけていた。
「おい、中村、お前まだ、居たのか?」