秘密の時間
その時声を掛けてきたのは、今一番会いたかった人だった。
「ぶ、部長、どこ行ってたんですか?」
「えーと、食堂だけど…。どうした?そんな意気込んで」
気が付いたら部長の言うとおりだった。
私は部長に詰め寄っていた。
「えーと、あの、ですね…」
何となく頬が熱い。
部長に指摘された私の大胆な行動。
あまりにも心細い所に現れた部長にしがみ付いている私。
「ん?
てーか、照れなくていいから、何があった?話してごらん」
大きな手が私の肩に触れ、そっと部長から身体を引き離す。
俯いていた顔を上げると、部長は優しく微笑んでいる。
「あのー、まだ見つからないんですけど…。
部長に頼まれた資料…」
「……」