秘密の時間
頭を優しく撫で、慈しむような眼差し。
丁寧な話し口調に優しい声音。
部長のそんな気遣いに胸がキュンと締め付けられる。
ああ、ヤバイ。
部長は妻帯者!
好きになってはいけない!!
でも、優しいから、こんな私にもいつも気に掛けてくれるから…。
私の脳は勝手に期待してしまう。
「悪かったな。資料の件も。
もっと早く教えて置けば、良かったのにな」
「……」
部長の言葉の一つ一つが胸の中に落ち解けてゆく。
どうしょう!?
どうしたらいいんだろ?
今気付いてしまった気持ちを、私は上手く隠せない。
「美優…」
なぜか少しだけ艶っぽく私の名を呼ぶ部長。
それだけで震えだす鼓動に私は為す術がなかった。