秘密の時間
「お茶、奢ってやる」
撫で撫でと私の頭を撫で、悪戯に微笑む部長は、部長としての表情ではなくもう少し若き日の少年の様な顔をしていた。
不覚にもそんな表情にもドキリとまたしてしまう。
「てっきり定時で上がれたと思ったんだけどな」
「……」
その呟きにはさすがに別の意味でドキッとしたけど…。
食堂にまた戻ってしまった部長は、はぁー、とため息を漏らす。
「何飲む?」
自販機の前に立つ部長の背中を眺めながら、ドキドキと煩い鼓動を治めたくて目を閉じた。
でも、それは逆効果で前回のキスの記憶が蘇り余計に鼓動は早くなり、頬もカーッと熱くなる。
「美優、何飲む?」
「……」
目を開けるとそこには、自販機の前に立ち尽くした困った顔の部長がいた。