秘密の時間
「あっ、えーと、じゃあ、ミルクティ…」
勝手な妄想に引き込まれ、部長の事を忘れていた。
だから慌ててそう言うと、部長の細長い指先は一つのボタンをぽんとおす。
ガタカダと落ちてくる缶を自販機から取出し、「はい」と私の目の前に差し出すと近くにある椅子に腰を下ろした。
「美優も、座ったら」
部長の言葉の促され近くにある椅子に座ると、私もほっと小さなため息が漏れた。
「本当に、悪かったな。
でも、ありがとう。
百円ほっきりの缶ジュースじゃあ割に合わないだろうけど、
まぁ、その内、機会があったら食事でも…」
「……」
ふと部長を見ると、テーブルに頬杖ついてこっちを見つめている熱い視線にぶつかった。
私はその視線に引き寄せられるように、お互いに視線を絡め合った。
「美優……」