秘密の時間
にっこり笑う葉子ちゃんからは、なんかただならない雰囲気が漂って来そうだったが、そんな事はなかった。
「でもさ、大橋部長ってかなり狙ってる人、多いよね!」
「それ、本当?」
そうなると、かなりの倍率?
ってより、私は大橋部長とどうなりたいの?
「っ、食い付きいいね。
でもさ、みんな『不倫でもいい~』とか思ってるみたい」
「……」
やっぱり妻帯者だもんね。
そう…最終的にはそうなるんだよね。
『不倫』か…。
私はやだなっ。てーか、無理!
人の家庭を壊してまで、部長の事欲しくない!
「あと…、前にちらっと変な噂聞いたんだけど…」
「うわさ?」
「うーん」
葉子ちゃんはそれっきり黙り込んだ。
俯いて魚の身をほぐしながら何か考えてるみたいだった。
「…あんまり、信憑性はないんだけどね…」
「…うん」