秘密の時間


お茶を配り終わり席へ戻ると、自分に与えられた仕事をこなす。


それだって、私じゃあなくても、誰にだって出来る簡単な仕事。



「中村、手空いてる?わりー、コピー頼む」

「…はい」


結局は使いっぱしり。


それでも、誰かの為になってる。って思いたいから、頼まれたらなんでも遣る。



「サンキュー、中村」


そんな言葉を貰うと嬉しくて、また遂、自分の仕事を疎かにしてしまう。




だから、今日も残業と言う名の居残り。



定時を過ぎ、一人また一人と帰って行く後ろ姿を見送って今日もため息を吐いた。


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