秘密の時間
部長の背中が見えなくなるまで見送り、やっと部屋に帰えることが出来た。
ズキン。重苦しい胸の痛みに玄関のドアを閉めた途端踞ってしまった。
あの部長の寂しそうな笑顔。
自分のことを自嘲した台詞。
それらは全て私が部長に取らせた行動だ。
もう少し素直にちゃんと話せてたら、もっと部長の気持ちを考えられたら、
部長はあんな顔しなかったかもしれない。
いつもいつも、私の事助けてくれるのに…。
今日だって恩田さんから、私を救ってくれたのに…。
ぽっんと、膝の上に涙が落ちた。
もうぐちゃぐちゃだ。
部長の事を考えるだけで平常心じゃあいられなくて、なのにこの気持ちは伝えられなくて…。
伝える?
伝えるって、どう言う事?
もしかして私、部長の事…。
憧れではなく、……すき…になっちゃったの?