秘密の時間


振り向くと帰り支度をすっかり整えた部長がすぐ近くに立っている。


「まだ、掛かるのか?」

「えーと…」


どうしょう。

部長、帰りたいんだよね!
まだ、新婚だっけ?


そんな事が頭をよぎるけど、あれから大して進んでいない仕事は終わる気配なんて無かった。


「なんか、進んでない…みたいだな」

「……」


私の後ろに回り込み、部長は画面を覗き込んだ。


そして、私が握るマウスの上にちょこんと手を添える。


そして部長の顔は、私の肩先にある。


この状況で、ドキドキしない訳がない。



カチカチとマウスを動かし、仕事をどんどん進めてく部長に驚きながらも、部長と同じように画面に見入っていた。


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