秘密の時間
「美優、頑張ろう。
例え結果がどうであれ、私は美優の味方だから…」
「私の、味方!?」
「そう。味方。
例え悪い結果だって、美優の傍に居て慰めるから…。それに、部長の現状を課長に聞くだけだし、
大丈夫。告るより簡単だよ」
「……」
そう、葉子ちゃんは言うけれど、今までそんな経験乏しいから、やっぱりバクバクとした心臓を抱えた私は、どうしても躊躇ってしまう。
「美優、ファイト!」
葉子ちゃんはそう言って私を励ます。
でも、今更ながら真実を知るのが怖くなって来た。
もし噂通りだったら…、反対に物凄くラブラブ夫婦だったら…。
どっちにしたって、私に出る幕はない。
それだったら、このまま、あやふやなままではいけないんだろうか?
結局前提が妻帯者なんだから、やっぱりこの気持ちは私の中だけに留めて置いた方がいいのでは無かろうか?
だって、やっぱり私には『不倫』なんてそんな大人な恋愛は向かない。
嫌っ、その前に拒否られるのが落ちだけど…。
「もう、ほら掛けるから、ちゃんと出てよね!」
えっ…、出るって私が話すの、小山課長と!?
私の手の中から奪い取った携帯で、名刺の裏に書かれた数字を押してゆく。
私は、ゴクンと生唾を飲み込むとその葉子ちゃんの姿を見守った。