秘密の時間


部長の何気ない告白に、思考回路が停止する。



今、今、『フェイク』って言ったよね。


フェ、フェイクって…



「正確に言うと、今はフェイク。前はそのまんまだったけど…」



フェイクに、そのまんま?


意味が分からず、首を傾げると、部長と視線が合い、にっこり微笑まれた。


「やっと顔上げてくれたな。美優」



そう言えば、今気付いたけど、さっきから部長私の事『美優』って呼んでる。


その呼び方に、名前の響きにしばし色々な思いが飛ぶ。


『美優』そう呼ばれるだけで幸せになれた気がして…実際夢見心地で幸せになんだけど。



「美優、美優の気持ち聞かせて欲しいな」


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