秘密の時間


き…気持ち?


こ…これは『夢』なんだろうか?


私の勝手な妄想が、辛すぎる現実を直視出来ないため、甘ーい世界を勝手に創り出してしまっのだろうか?


目の前の部長も心なしか、甘ーい、ふんわりとした雰囲気に包まれている。



「き、気持ちと言われても…」


フフ、なんて微笑みを零す部長に自分の中の素直な気持ちが溢れだす。



「それより、一つ聞きたいんだが、美優、いい?」



一段と頬を赤く染め俯く私に部長は今までとは違う少し低い声で問いはじめる。


「なんで俺の携帯に電話してきて、『小山課長』なの?」



その問いに、咄嗟に現実に引き戻された。



そ、それは私の方が聞きたい!!



なんで部長?
どうして小山課長は自分の名刺の裏に、大橋部長の番号を記したの?



「美優、聞いてる?」

「あ、あのー、それは…」



どう答えれば、いいんだろ?



誤解を受けずに納得してもらうには…?



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