秘密の時間
名刺片手に、頭を掻いている部長を見ても、私は何も理解出来なかった。
どういう訳、なんだろ?
何から聞いていいか分からず、また頭を傾げると部長の顔が少しだけ真剣な表情に戻った。
「美優、言いづらい事何だか…、伝えたい事がある」
私の目を見て、私と向き合っている部長はほんの少し会社では見たことない大人の表情になった。
「美優、最初から話すと時間が掛かるから短く伝える。
俺は多分…
美優の事が好きだ」
「……」
それはどういう意味、なんだろ?
驚きよりも先に思った事は、かなり次元の低いところからだった。
だ、だって、大人な部長が私を相手にする訳が無い!
私なんてまだ一人前に仕事だって出来ないし、先輩がたにも日々迷惑かけてるし。
そんな私の事『好きだ』なんて、到底恋愛感情なんて在りなんて思えない。
きっと『恋愛感情ぬきで』とか『出来の悪い奴程かわいい』的な感情だと思っていた。
でも…
「これは仕事とか関係なく、個人的にだ」
とさらっと述べた。