秘密の時間


えーと、それって、『恋愛感情在り!?』



時間差で理解した部長の言葉の意味に、ぽっと火の着いたように赤くなるほっぺたが妙に恥ずかしかった。



「ごめん…。
迷惑、だよな。分かってる。
仕事では私情を挟まないようにしてたんだか、やたらと美優は目に付くんだよ」

「……」


「だからなるべく見ないようにしてた。

してたのに美優は仕事中恩田にナンパされてるは、黒澤さんに雑用たのまれてるはで…


見ない訳にはいかなかったみたいだ」



ふっと息を吐いた部長は、視線を落とし自嘲気味に笑う。


その姿が寂しいそうに見えて、ギュッと胸が締め付けられた。


「でも、まさかな小山にばれてるとは…

美優、迷惑掛けたな」



その貼りつけた様な寂しい笑顔が胸に痛い。


なにか気の聞いた台詞を今のこの瞬間に言えたなら、もしかしたら部長の寂しさを救ってあげられるのに。


でも、思い浮かばない。


正直な気持ちを私も伝えてたら、少しはこの状況は変わるのかな?


部長が私にさっきくれた様に。


「あの、部長…、わたし…」



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