秘密の時間
秘密の約束
それから私達は少しだけ他愛ない会話し家路に着いた。
部長は仕事の途中で抜け出して来たらしく「送れなくて悪いな」と本当に申し訳なさそうにそう囁いた。
「部長、あのー…」
その次に続く言葉なんて考えてなかったけど、もう少し引き留めたくて…、そんな台詞が口から出ていた。
「美優、明日からもいつも通りでいいんだぞ。無理に気を使ったり無視したりとかなしだからな」
またいつもの様に、大きな手が私の頭を捕える。
温かな眼差しが向けられ、急に鼓動が暴れだす。
って言うか、そんなの無理だよ。平常心とか絶対…。
上手く視線を交わし俯く私。
部長はそんな私の手を取って、薄暗い脇道に入る。
そして、そっと俯いた私の顔を持ち上げる。
「目は、閉じろよ」
言われた通り目を閉じると、素早く何かが唇に触れる。
だけど、本当に一瞬でそれは直ぐに離れていった。
「ごめん、嫌だったか?」
うんん。言葉も出ずに頭を振る。
嫌なんて、そんな事ない!