真実にたどり着くまで
第一章 必然的な出会い
「はぁ」
私、華崎詩羽(ハナサキシワ)は今、最悪な気分だ。
「入学式の会場ってどこなのぉ」
私は入学初日から学園内を歩き回っている。
「…認めたくない。けど、これは迷ったとしか言いようがないな…」
地図と周りをキョロキョロ見ていたら、突然声をかけられた。
「どうされましたか?」
びっくりして、しばらく硬直していると、その見知らぬ男が再び口を開いた。
「もしかして、新入生の方ですか?入学式の会場はこちらではないですよ?」
私はようやく硬直がとけ、しゃべりだした。
「あ、はい。新入生の華崎詩羽といいます。そうなんですよ。迷っちゃって…あのこの学園の方ですか?」
「そうです。2年の七海侑真です。よろしく。じゃあ、会場までご案内致します。まだ五分前だから間に合うと思いますし。」
「ありがとうございます。助かります。」
「いいえ。では行きましょう。」
といって、その七海侑真という男と歩き出した。
そうコイツが私の人生をめちゃくちゃにした張本人。
…これがキミとの最初の出会いだった。
「ここです。」
しばらく歩いた所に会場があった。
「良かったぁ。感謝します。では、私はこれで。」
「いいえ。では。」
そう言って行ってしまった。
『七海侑真君…か』
私はそのとき七海侑真という人間にすでに惹かれ始めていたのかもしれない。