真実にたどり着くまで
「詩羽!」
私は玲那に呼ばれてハッとした。
「ごめん~!ぼーっとしちゃって…」
「どうしたの?最近、いつもぼーっとして。悩み事~?」
玲那はニヤニヤしている。
「違う…訳じゃないけど…」
そう言うと玲那は目を丸くして言った。
「え!?な…悩み事なの?嘘みたい…」
「え!?な…にそれ!私にだって悩み事の一つぐらいあるよ!」
「ごめんごめん~!で?何の悩み?教えてよぉ~親友でしょ?」
「え…でも…」
「なによ!私にも言えないわけ?玲那さびしー!」
玲那は困るとすぐさびしーと言う。
私がそう言われると、言わざるを得なくなるのを知ってるクセに…
「あぁ~!分かったよ。分かったってば!」
玲那は『よろしい』と言いたげな顔をして私をみた。
「で?なになに~?」
「実はね…」
私は話し出した。
「実は、入学式の日に迷っちゃって…その時案内してくれた人の事を思い出して。」
「名前は?」
「うん。七海侑真…って言ってた。」