X人のご主人と愉快な式神たちの話
つまりこれは、あの狸からすれば全力のじゃれ合いということになる。
「そういうことってんなら、おめえさんを殺しはしねえ。だがよう」
そこで、七衛門が襤褸刀を振り上げた。
「遊びたきゃ遊びたいって、口があるなら言いやがれ。
そんときゃあ」
朧儀翁が、またこれかとばかりにふと笑みをこぼしたのだった。
「そんときゃあ、俺がまた遊んでやらあっ!」
七衛門は豪快に結界を破った。走り出す七衛門に、朧蓋翁がおっついていく。
《七衛門よ、斬るならあの大首の幻影ぞ》
「おうよっ!幻魔焼法―――」
襤褸刀をきっさげ、七衛門は地を蹴って高らかに飛び上がった。
「化かし破りの斬っ!」
妖光と共に、その襤褸刀は大首もとい化け狸の幻影を二つにかち割った。