X人のご主人と愉快な式神たちの話
続けざまに外法師が唯斗を指差して、渋い面で言い張った。
「おめえこそ、何をしにきやがった」
これ以上ここにいても、この邪魔な外法師に足を引っ張られるだけかもしれぬ。
そう判断した唯斗は、そそくさと外法師に背を向けた。
「人を困らせる怨霊がいるって聞いたから、早急に退治しなきゃと思ってね」
「はあ?ばっかか、おめえ」
外法師の罵り声が背に飛んでくる。
もちろん、唯斗は聞いてやる気などさらさらない。
「怨霊だってもとは人だろうが。
てめえの物言いは、まるでそいつを化け物扱いしてらあ。
……おい、聞いてんのかあ?」
聞くわけねえだろ。
言いたいのをこらえて、唯斗はさっさと邪気を感じる方向に向かって走り出した。