アナタとの距離
「……。ただいま。。」
結局、家に来てしまった。
雅紀にバレないようにしなければ。。
「部屋に行ってて。」
私は、雅紀を部屋に早く行かせようとしたが、そのとき、運悪く、ママがリビングから廊下に出てきた。
「…あら、雅紀くんじゃない?久しぶり!」
え?
ママは、雅紀の前で「ママ」を演じている。
「お久しぶりです。」
「本当、久しぶりね。ますます良い男になったわね(笑)」
「そんな事、ないですよ(笑)」
私の目の前で、繰り広げられてる光景は、どこか懐かしい光景で…
私が、まだ雅紀に愛されてて、家族ごっこだと分かる前の幸せだった、あの頃の光景だった。
私は、あまりの懐かしさに、気がついたら涙を流していた。
「あら、彩乃。何泣いてるのよ(笑)」
「本当だ。彩乃は泣き虫だな(笑)」
そう言って、2人は私を見て笑った。
私を、見て笑ってくれたんだ。