放課後ワルツ
意気消沈して息を吐くと、早瀬が笑いながらよしよし、と私の頭を撫でてきた。
余裕だな、こいつ。
憎たらしい。
「……早瀬は数学できるからいいよね。羨ましー」
「でも俺、国語苦手。加藤は得意だろ?」
「あったりめーよ。日本人だもん。早瀬が珍種なんだよ」
「やかましい」
ベシ。
「いったぁ!早瀬がバシバシ叩くから私の頭がどんどん馬鹿になっていくんだ!」
「もう十分馬鹿だろ」
「こ、言葉の暴力も反対!」
…厭味だしすぐ手が出るし憎たらしいことこの上ないけれど。
早瀬と居るの、嫌いじゃない。
こうして言い合いしてるのも、落ち着くんだよね何故か。
……一緒に居てくれるだけで。
組んだ腕を枕にして私が机上に俯せになると、また早瀬が髪を撫でた。
この柔らかな手つきが好き。
ふんわりとした優しさと、髪越しに伝わる掌の温もりに安心する。