放課後ワルツ
……ねぇ、早瀬。
あんたは今、何を思ってる?
「……加藤」
「んー」
「ひとりで居るの、寂しいの?」
ふと、早瀬がそんなことを聞いてきた。私は少しだけ腕の中から顔を上げて、早瀬を見つめる。
「何、急に」
「さっき言ってたじゃん、ひとりで居るのが苦手だ、って。俺に抱き着きながら」
抱 き 着 き な が ら 。
先程のあまりにも恥ずかしい自分の奇行がフラッシュバックし、顔が一気に熱くなった。
早瀬の顔を直視できず目を泳がせる私を見て、早瀬は可笑しそうに笑う。
「可愛かったー。『早瀬ぇ…』ってさ」
「わ、忘れろ!今すぐ記憶から綺麗さっぱり削除しろ!」
さー、どうしよっかな。
そう言って楽しげに笑ってみせる早瀬は、やっぱり意地悪だ。この悪魔!大魔王!
「加藤って、意外と寂しがり屋」
…でも、私の頭を撫でるその手は優しくて。
不覚にも、惹き付けられる。