放課後ワルツ





「……うち、親が共働きでさ。二人とも大体いつも帰り遅いし、だからいっつも家で私ひとりだし」

こんなこと、今まで誰にも話したことがない。
今時共働きなんて珍しくも何ともないし、この年になっても未だ

「……だから、家の外でもひとりになると無性に寂しくなる」

こんなことを言っているなんて。友達に聞かれたらきっと笑われる。

あんたもどうせ、笑うんでしょう。


ぼそぼそと白状して再び机に突っ伏すと、暫くして早瀬が動く気配がした。
席を立って私のすぐ傍に来て、地面に膝をついて。

私の顔を覗き込むように、至近距離まで顔を寄せて。


「教室に戻って来たのが俺じゃなく他の男(ヤツ)でも、抱き着いてた?」

「!」


耳元で囁くように、彼の口から飛び出して来た言葉に驚いて、私は思わず飛び起きた。

急に何を言い出す……

「っ、」

はたと目が合って、また顔が火照りだした。


顔、近い。





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