放課後ワルツ





夏の終わりとはいえ、まだ少し蒸し暑さが残っている。
全開にした窓から時折吹き込んでくる微風が心地好い。

最近は、日が落ちるのが早くなってきた。

空は既にほんのりと赤く染まり、グラウンドで練習をする部活動生たちの声が空気に響いて溶けていく。


意識は全く明後日な方向に向かいながらも、視線だけはプリントに集中させてペンを片手に課題を解き続けた。

少しずつだが、プリントの回答欄が埋まっていっている。しかしまだ道程は長い。

「ちょっと休憩……」

一旦ペンを置き、思い切り伸びをして上体を左右に捻った。
パキパキと骨が軽快に鳴ると、ちょっとした快感が心に満ちる。私は何故だか、身体の骨の鳴る音が好きだ。

……って同じようなことを、前に早瀬が言っていたような気がする。

「お前、休憩多過ぎ。さっさと終わらせて帰んぞ」

そしてこいつは口は悪いけれど、絶対に「俺、先に帰るから」とは言わないのだ。





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