放課後ワルツ





何だかんだ言いつつ私のことを待っていてくれるし、困ったら助けてくれる。

今日もこうして、居残りに付き合ってくれる。

お人好しなんだ、この男は。



「はい休憩終わりー」
「えぇ~、もうちょっと!」
「まだ半分も終わってないだろ。気合い入れてやれ」
「はーい……」

私が口を尖らせながら再びペンを握ると、早瀬は静かに席を立った。
そのままスタスタと教室から出て行こうとする。


……あ、れ?


「はやせ……?」

「何」

「……あ、いや、何でも……」


私が首を横に降ると、早瀬は別に気にする様子もなく教室の外へ歩いて出て行ってしまった。

教室に、私ひとりが残される。


「………」


グラウンドに響く掛け声。笛の音。風に運ばれてくる吹奏楽部の演奏。

鼓膜に響いて、頭に響いて。



急に心細くなってきた。





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